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 5月の後半に入り米ドル円が再び動意づいた動きを見せ始めました。きっかけは、FRBイエレン議長が年内利上げを示唆する発言を行ったことに加えて、米国の住宅関連の統計が概ね堅調だったことが利上げ観測を後押し、ドルは円に対して買われる動きとなりました。

足元では日本の要人発言に円安を強くけん制する発言はなく、引き続きドル買いが優勢。27日に7年ぶり123円台をつけた米ドル円は、流れが変わらず28日には12年ぶり124円をつける動きとなっています。

 我が国では政権交代により安倍首相によるアベノミクスと銘打った経済、財政政策により株高や円安を演出していますが、国内経済において、ドラスティックな変化は見られないものの、国際優良企業を中心に業績回復が鮮明になっており、景気にもその兆候が見られています。

しかしながら、大規模な量的緩和策を中心に据えた日銀の国債買い入れやリスク資産の買い入れによって演出された金融市場環境の側面は大きく、実態経済の回復には今しばらく時間が必要なものと見られています。

 こうした環境下において、米ドル円相場は、新たに円が売られる材料には乏しいものの、いわば官制相場に守られた格好で大きく円が買われる局面とはならず、2014年後半以降120円を挟み上下2円の振れ幅を継続していました。

 ただし、米国においては2014年以降、金融緩和策を縮小する動きが見られ始めたため、ドルが買われるといった先高感につながる材料が徐々にあらわれ始めました。特に、機械受注等の設備投資関係指標と雇用関係指標においては堅調な内容を示すものが多く、着実に米国経済の回復は足跡をつけていたと考えられます。

 また、米ドル円相場に限らず、ユーロドルについても、2014年以降、ドル高の動きが強まっています。ギリシャ問題等は現在も不透明感を強く残していますが、欧州経済においてデフレの兆候が見られ始めたことに対する欧州当局の金融政策に端を発した消去法的なユーロドル買いが一因と考えられます。欧州経済においては、決していいものとはいえず、トレンドはこうした欧州と米国の関係からユーロドルは引き続きドル高の流れとなり、緩やかながら1ユーロ=1ドルも夢ではない水準に近づくことが考えられます。

 ユーロドルにおいても、ドルが買われる流れは、米ドル円においても円安を促す一因と考えられます。そもそも米国の金融政策を主導するFRBは市場との対話を重視する傾向にありますが、2013年5月バーナンキ議長就任時に予期せぬ政策変更を示唆したことで世界同時株安等を招いた経緯があり、イエレン議長は金融市場との対話に慎重な姿勢を強めています。しかし、米国の金融政策は事前にアナウンスした政策について、方向転換をすることはまれであり、2014年後半には米国金利の引き上げは2015年半ば以降と言われていました。

 今後の米ドル円相場については、米ドル以外の目立った買い材料は見当たらないが、要人等による円安けん制は想定されることから、押したら買うといったポジションでこまめな取引がわかりやすく、米国が明確に金利引き上げをアナウンスするまでは押し目買いスタンスが良いと考えられます。

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